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レース中に考えていることはありますか |
谷選手 |
これをしなきゃいけない、とは考えないです。天候もコンディションも変わりますから臨機応変に考えています。そうでないと長丁場のアイアンマンは戦えないです。 |
レースで苦しい時ってありますよね。そういう時はどうされてますか |
谷選手 |
んー、苦しい時は苦しいですよ。でも、苦しい中での楽しみというか、そっちだと思いますね。
ただ単に苦しいとかっていうのはないです。で、僕が苦しいだけじゃなくて、レースに出ているみんなが苦しんであって、自分だけじゃないと思うと、その中でレースをやらしてもらってる喜びも大きくなっていきますね。苦しさを包み込んでくれるような。そん中で、ひとつひとつ前に進むような感じですね。
それがフィニッシュ地点、テープを切る瞬間にすべて爆発します。自分は、すべてやりきったんだという達成感。これはアイアンマンディスタンス(スイム3.9km、バイク180.2km、ラン42.2km)の方が達成感も大きいですし。 |
うれしい時はどんな時ですか。 |
谷選手 |
やっぱり、応援はうれしいですね。最近ゼッケンに自分の名前が書いてある時があるんですよ。海外でもありましたし。名前で呼んでもらうとうれしいですね。「新吾行けー」「ゴーゴーシンゴ」とかですね。やっぱり一体になっているというか、選手だけでレースしているんじゃないと。ボランティアの方がいて、スタッフの方がいて、みんなでレースができてるって感じがしますね。
自転車乗ってても、エイドステーションでボランティアがいないと、自分で降りてとらなきゃいけないし、食べ物もバナナも。やっぱあの人たちがいるから僕らもできるし。だから応援してもらって、僕はできるだけ、しんどい時もありますけど、応援してもらったらそれに返すようにしています、声で。声でできないときはうなづいたり、手振ったり。その時は自分としてもパワーをもらってやってるんだなって。それは嬉しいというか、心強いというか。 |
トライアスロンのアイアンマンはどのような競技ですか? |
谷選手 |
一言で言うと、大自然の中で大人が本気で遊ぶって感じですか。
僕自身も今は仕事としてやっています。もともとは好きで、遊びから入ってる。で、仕事としてやっている以上は責任感も大事ですし、スポンサーのためにもやらなきゃいけない、これは一番大切ですけど、でもその中で、楽しまないとだめです。じゃないとやっていけないです。
その中で毎年毎年、トレーニングしながらでもいいですから、楽しみを見つける瞬間てあるんですね。今年のテーマをつくったりして、例えば今年はアイアンマンでバイクだけはものすごく速く走ってやりたいとか。ハワイの大会だったら、周りはあの大自然、溶岩だけなんですよ、自分との戦いなんですね。その中でそうやって楽しむとか。
やっぱり、その人その人に楽しみがあるので、大ぉーきな意味で言うと、大自然の中で水泳・自転車・ランニングで大人が遊んでるって感じですね。
海ありますし、空もすごいカンカン照りですし、ランニングに至っては地面の熱さがモワーッとしてくるんですよ。でも自分があの中にいると、これ、真面目に走ってるけど、すんごい遊んでるみたいだなって。そういうのは絶対大事だと思いますね。 |
魅力もそういうところですか、トライアスロンの魅力も。 |
谷選手 |
そうですね、自然て何が起こるかわからないじゃないですか。瞬時に変わるのを自分の中でどうやって楽しみながら、苦しみながら、それを克服して、あの長い距離を走りきってフィニッシュ地点に返ってきた時に自分はどんな思いするんだろうと、頭の中と肉体はどんな変化があるんだろうと。肉体的にはぼろぼろでも精神的にはすっきりしてフィニッシュ地点に返ってくるときあるんですよ。その逆もあります。こっち(精神的)はものすごい疲れてんのに、肉体はまだ動ける時もあります。本当に肉体と精神が一致するときってホントに数少ないんです。でも、その時が一番成績も良かったり、目標が達成できる時なんです。 |
それは無意識にそうなるんですか |
谷選手 |
無意識になってます。無意識ですね。 |
体調がいいとかそういうのも重なってそうなるんですか |
谷選手 |
ハイ、だから1週間前までのトレーニングが順調でもレースでは全然ダメだったりとか。その逆もありますから、何とも言えないです。僕らはそれを合わせないといけないですから、それを合わせるためにトレーニングやってるというのもあります。一般の方々はアイアンマンを完走したい、それが最大の目標で自分が達成感を味わって、疲れてるけれども楽しかったなっていう一つの思い出として、いろんな人も目標がありますけれども、これは一回走ってみると分かると思います。 |